「がん」は、1981年に日本で死因の一位になり、凡そ二人に一人が罹患し、三人に一人はがんで死亡するという私たちにとって身近で重大な病気であり、特にがんと診断されることは、心身にも、さらに人生そのものにも多大な影響を及ぼすものです。かつては不治の病気であったがんも、医療の進歩により、多くのがんが治癒するようになりました。しかし、解決すべき問題も多々あり、患者家族のいたみ・苦しみ・悩みの軽減には、そうした声をあげることのできる場所と受け止める場所の存在が必要なことです。
京都府内でも、各所でがんに罹患された患者や家族が中心となり、多くの患者会や患者サロンが組織され、がんに関することでの苦しみや悩みの共有できる場として、また各患者会では、独自の取り組みもなされ、勉強会や予防のための啓発活動などにも力を入れる団体もあります。こうした患者会ができた背景には、他者への寄り添いといった、お互いがお互いを支えあうという素晴らしい精神の発露であり、60年余の歴史ある団体もあります。
このような団体同士が、ともに手を取り合い、がん患者・家族・さらには遺族同士の交流と連携を図り、時々に起こり得る、患者・家族の切なる悩みや思いを行政機関や医療機関に届けることを目的として、京都府がん患者団体等連絡協議会は、2009年3月に設立されました。協議会には、患者団体の他、がん患者をサポートする団体(個人)、よりよいがん医療をめざすすべての団体、また医療者や研究機関(研究者)も参加いただいております。
京都府でのがん対策推進協議会においても、患者や家族の要望を届け、推進計画の中に反映もされてきました。発足以来、継続してきた活動として、がん診療連携拠点病院でのがん患者サロンの開設と活動支援、がん患者会やがんサロンへの支援、ピアサポーター養成講座やファシリテーター(患者サロン世話人)意見交換会の開催、京都府がん対策推進協議会や京都府がん対策推進府民会議への参画、2020年より全国がん患者団体連合会にも加盟し、私たちの存在と活動がよりよいがん医療に結びつき、とりわけ、がん患者・家族・遺族が安心して暮らすことができ、より良き人生を歩めるための支援活動を継続しています。
2023・5・14 京都府がん患者団体等連絡協議会 代表理事 佐野泰典